骨が足りない原因は大きく2つあります。まず1つ目は歯周病です。いわゆる歯槽膿漏です。歯槽膿漏によって歯槽骨が吸収されていくと、高さ、幅ともに減少してしまいます。その結果、歯が抜けてしまうわけです。
歯が抜けるほどになったときには、骨の吸収はかなり進んでいて歯槽骨が非常に後退してしまっています。 40歳以上の日本人が歯を失う原因は、ほとんどの場合歯周病です。
骨が足りない原因の2つ目は、生まれつき上顎の骨が薄いことです。この場合、長いインプラントを埋入すると、先端が上顎洞に飛び出してしまいます。
その他にも骨が足りない原因はいくつか考えられます。抜歯をすると、抜いたところの骨がしだいに吸収されていって、年々歯槽骨が低くなっていきます。また、入れ歯を長い間使っている場合も、骨はどんどんやせてしまいます。
長期にわたり、快適な状態を保つためには、インプラントを埋め込む部位に、充分な「骨の幅」と「骨の深さ」が必要になってきます。しかし、長い間合わない入れ歯を使い続けていた方や、歯周病が進行している方の多くは、インプラントに必要な骨の量を充たしていません。
その場合当院では、まずインプラント手術前に、骨量を補う治療を行っていきます。
インプラントを埋め込んだ周囲の骨量が不足し、人工歯根の側面が露出している場合に行う治療法です。
このままでは、インプラントを長期的に安定させることが難しいので、歯槽骨が不足している部分を、自家骨(自分の体の骨)で覆います。それにより骨の再生が促進され、約4ヶ月で骨が再生されます。
必要な自家骨が、少量の場合は頤(おとがい:下顎の前の部分)、量が多く必要な場合は蝶骨(腰の骨)から採取します。
ソケットリフトとは、上顎洞までの骨の高さが不足しているため、専用の器具(オステオトーム)を用いて、上顎洞を押し上げる治療法です。
上の奥歯がなくなると、上アゴと上アゴ洞との距離がだんだん狭くなっていきます。通常インプラントを行うのには、最低でも10mm(予知性のある治療を行うのに必要な最低限の骨量と考えている)の骨の高さが必要ですが、ソケットリフト法を行うと 5mmの骨の高さで、インプラント手術を行うことができます。
5mm未満の場合は、ソケットリフト法を2回行う(1回目から3~4ヶ月の間治療を待ちます)とインプラント手術を行うことができます。
骨の高さが著しく低く、且つ広範囲に及ぶ場合、ソケットリフトでも対応できないため、サイナスリフトを行います。
サイナスリフトは、ソケットリフトと異なり、下から上顎洞を押し上げるのではなく、横から移植材を入れ、骨の高さを増大します。
ただし、ソケットリフトと比較して、骨への侵襲が大きいことや、骨の補足材が多量に必要なこと、また2次手術までの期間が長いなどの問題点があります。
インプラントの治療技術は、目覚しい進歩を遂げています。以前は不可能と言われていた症状でも、治療が可能になってきています。ぜひ一度、ご相談ください。
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